2023年9月1日、IRを推進している大阪府と大阪市は、大阪IRの開業に必要な取り決めをまとめた「実施協定」の素案を9月5日に公表すると明らかにしました。
大阪府と大阪市は今年の4月、大阪IRの区域整備計画の認定を国から受けており、次の段階として大阪IRの建設に向けて実施協定の内容を検討しています。
当初は2029年の秋ごろに大阪IRを開業する計画でしたが、区域整備計画の審査期間が想定よりも長引いたことなどから、開業時期を2029年から2030年以降にずれ込むとしています。
開業時期のずれ込みについては実施協定にも盛り込む方針で、開業に向けて具体的に動き出すための内容になりそうです。
当初は2029年開業を目指したが審査延長で困難に
大阪IRは人工島である夢洲を舞台に計画されており、2025年開催予定の大阪万博が終わった後に再整備をおこなうことで早期実現を見越していました。
しかし、2022年4月に申請した区域整備計画において、当初は半年後の秋頃に認定が下りるとされていたものの、国の審査が1年に長引いたために計画の修正を余儀なくされていました。
既に吉村大阪知事は「2029年中に大阪IRを開業させるのは困難」との認識を示しており、具体的な時期を模索。
大阪府と大阪市は9月5日に成長戦略などについて議論をおこなう副首都推進本部会議を開くとしており、実施協定の案を議論したうえで国に申請する予定です。
国から実施協定の許可が下った後は、IR事業者と協定を締結し、大阪IRの建設に向けて大きく動き出すことになります。
一方、IR事業者あはカジノ免許の公布を国に申請し、カジノ管理委員会の審査によって免許が公布されれば、正式に開業に必要な手続きが整います。
現在、IRの区域整備計画の認定を受けたのは大阪IRのみであるため、実施協定やカジノ免許に向けて動き出しているのは大阪IRが第1号です。
特にカジノ免許においては、ギャンブル依存症の問題が未だにくすぶりを見せているため、カジノ管理委員会の審査が長期化する可能性もあります。
開業時期を少しでも早めるためにも、実施協定の内容検討を急いでいます。
大阪IR開業の前提となる大阪万博には黄信号も
大阪IRの舞台となる夢洲は元々作業土砂や産業廃棄物の処分場であったため、観光地としての機能が備わっていませんでした。
しかし、大阪万博を2025年に夢洲でおこなうことになったため、インフラ整備が急速に進み、警察署が作られるなど治安維持の環境も整ってきました。
大阪万博のために作られる機能はそのまま大阪IRに受け継がれることになるため、大阪IRにとって大阪万博の成功は必須になるわけですが、現状大阪万博の準備が進まず黄信号が灯っている状況です。
8月31日に首相官邸で大阪万博の準備について岸田首相は「万博の準備は胸突き八丁の極めて厳しい状況に置かれている。成功に向けて政府の先頭に立って取り組む決意だ」と述べ、運営主体の万博協会を強化する方針を明らかにしました。
特に各国が設計、建設を手掛けるパビリオンの準備が難航しており、資材高騰により建設業者との契約が進んでいないことから、相当なてこ入れを要する状況になっています。
政府も強い危機感を抱いて準備に取り組むとしていますが、延長する想定はないことから今後どのように加速度を上げていくのか注目されています。
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