2022年1月17日、市民団体が求めていたIR誘致の賛否を問う住民投票条例の制定について、尾花和歌山市長は「実施する意義は見出しがたい」として反対する考えを明らかにしました。
市民団体は2万人を超える署名を集めて、1月7日に住民投票条例の制定を求めていました。
2万人の署名が集まったことで法定署名数に達し直接請求が有効となったため、和歌山市は臨時議会を開くことを決定、今後1月24日の臨時議会にて和歌山市長の反対意見を付けた条例案が提出され、27日の本会議で採決される見通しになっています。
住民投票を求める署名数は法定署名数を遥かに上回る
今回の和歌山IR実施に伴う住民投票条例の請求については、2021年11月より市民団体「カジノ誘致の是非を問う和歌山市民の会」が法定署名数を超える署名を集めることを目標にして、署名活動を実施していました。
法定署名数とは、都で2万人以上、都府県及び各市町村では1/50以上の署名が集まれば、直接請求することができる制度のことです。
住民投票条例を求めるためには有権者の2%以上となる法定署名数が必要ですが、僅か1ヶ月ほどでおよそ6.5%にあたる2万人分もの署名が集まり、翌年の2021年1月7日に和歌山市に対して和歌山IRの是非を問う住民投票条例の制定を求めたのです。
和歌山市は住民投票条例の制定の請求を受理したため、尾花和歌山市長は1月24日から27日にかけて臨時市議会を招集しました。
市長は「住民投票を実施する意義は見出しがたい」との反対意見をつけて、臨時市議会へ提出する見込みです。
4日間で住民投票条例案が提出され、条例案について審議がおこなわれ、最後に採択をおこなって結果が出ることになります。
尾花和歌山市長が条例案に反対している理由は費用面と法的な拘束力がないこと
市民団体「カジノ誘致の是非を問う和歌山市民の会」が提出した住民投票条例案について、尾花和歌山市長は1月17日に臨時市議会に先駆けて住民投票実施に反対している旨を明らかにしました。
「住民投票を実施する意義は見出しがたい」との意見を提示していますが、その背景には住民投票を実施するのは多額に費用がかかること、そして条例に基づく住民投票には首長や議会に対しての法的な拘束力がないことなどを理由に挙げています。
市民団体「カジノ誘致の是非を問う和歌山市民の会」は和歌山IRについて「IRの建設予定地となる和歌山市の市民が意思を示す機会を設けるべき」と訴えましたが、市長はそれに対し「住民の意思の反映は、選挙で選ばれた首長や議会が中心的な役割を果たしている」と反論、議会制民主主義の役割を主張しました。
しかし、その主張については「カジノを争点にせずに実施された選挙で選ばれた議員や首長の決定では、和歌山市民の声が議会に反映されているとは言えない」と市民団体「カジノ誘致の是非を問う和歌山市民の会」は反論、改めて住民投票の必要性について強調しています。
和歌山市長と市民団体の主張は平行線を辿っている状況ですが、市長は24日に自身の反対意見を付けた住民投票制定の条例案を提出する見込みで、市民団体代表者の意見陳述などをおこなって条例案について審議され、最終日となる27日に開催される本会議で採決される予定です。
今回の条例案の請求には法定署名数の3倍以上となる署名が集まったことから、和歌山市民のIRに対する高い意識が伺え、条例案が可決されるかどうか注目が集まっています。
コメント