2022年6月20日、大阪府や大阪市が推進している大阪IR誘致に反対する大阪市議会議員らが、市民団体である「NO!大阪IR・カジノ」を立ち上げました。
2022年4月に大阪府や大阪市が国に提出した区域整備計画について、国に認定しないように要望を出す方針です。
ただ現在国は区域整備計画を審査している段階であり、どのような審査段階なのか、審査状況がどうなのかなどは完全に非公表となっています。
現在おこなわれている審議にどのような影響を与えるのか、そもそも何かしらの影響を与えるかどうかは不透明な状況です。
市民団体「NO!大阪IR・カジノ」を立ち上げたのは自民党市議ら12名
大阪IRに反対する市民団体「NO!大阪IR・カジノ」を立ち上げたのは、現市議を含めた12人であり、立ち上げメンバーは以下となっています。
- 川嶋広稔(大阪市会議員)
- 野村友昭(前堺市議会議員)
- 小西禎一(元大阪府知事)
- 武田かおり(NPO法人AMネット理事)
- 田中誠太(REAL OSAKA 代表)
- 石田法子(弁護士)
- 辻口信良(弁護士)
- 中西正人(元大阪府教育長)
- 高橋保(元堺市副市長)
- 川田長嗣(元大阪市私立幼稚園連合会会長)
- 安達巡(元大阪市私立幼稚園連合会副会長)
- 早瀬昇(同志社大学政策学部客員教授)
立ち上げメンバーは大阪市会議員だけでなく、NPO法人の代表や弁護士、元副市長、元幼稚園連合会会長など、様々な分野のエキスパートが集まっています。
市民団体「NO!大阪IR・カジノ」は、大阪府や大阪市が提出した区域整備計画に記されている収益予想は根拠が曖昧であり、本当に地域に経済効果があるかどうかは疑問があると主張しています。
市民団体「NO!大阪IR・カジノ」の立ち上げメンバーの一人であり、現市議会議員の川嶋氏は6月20日に大阪市役所で記者会見を開きました。
会見の中で川嶋氏は「大阪の成長をカジノに託すべきではない。大阪IRは課題が多いことを国に伝えたい」と述べました。
大阪府と大阪市が国に提出した区域整備計画は3月に府や市の両議会で可決され、4月に提出した経緯があります。
今後、国に認定を認めないように訴えた結果、どのような影響をもたらすのか注目が集まっています。
市民団体「NO!大阪IR・カジノ」が指摘する大阪IRの問題点とは
大阪IRは2022年4月に国に区域整備計画が提出されたことで、国の審査結果を待っている状況です。
そんな中、市民団体「NO!大阪IR・カジノ」は大阪IRについて大きく4点の問題点について指摘しています。
まず1点目の問題点は大阪IRがもたらす経済効果です。
経済効果の前提として入場者数の7割を日本人に設定していますが、海外からの観光者が3割しかないのではIRの魅力に疑問が残ることや、他の観光産業に悪影響を及ぼすことでマイナスの経済効果が発生することを懸念しています。
2点目はMICE機能の規模縮小です。
MICE機能とはビジネスや学問、文化的な催しなどを開くための会議場やイベント会場などを指しますが、当初は10万平方メートルを整備すると言われていたのに縮小されて2万平方メートルに変更されています。
世界のIRではMICE機能を強化している中、IRとしての機能が弱まり観光分野を基幹産業とする計画からかけ離れていると指摘しています。
3点目は大阪IRの土壌対策費用を公費として負担していることです。
税金をIRのために使うということも問題ですが、元々建設残土等の処分地として作られた夢洲は地盤が軟弱であるにも関わらず年間2,000万人を集める大規模商業施設を作ろうとしていることは極めて無責任だと主張しています。
最後の4点目は、今回市民団体「NO!大阪IR・カジノ」を作るきっかけとなった、住民との合意形成の欠如です。
IR誘致の是非を問う住民投票をおこなうよう直接請求署名運動が起こり、法廷必要署名数を超える署名が集まったにも関わらず、大阪IRが府議会や市議会で可決され、住民合意を得たとは言えないとしています。
また、国が地域住民との合意形成を強く求めているにも関わらず、大阪府や大阪市は4回の公聴会をおこなっただけで合意形成の責務を果たしていないことにも言及しています。
これらの問題点を国に伝え、改めて国が大阪IRを認定しないように要請する方針を固めています。
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