2022年12月19日、長崎県は県議会観光・IR・新幹線対策特別委員会にて、長崎IRにおける資金調達先の1つになっているクレディ・スイスの経営再建状況についての説明をおこないました。
長崎IR最大の懸念点は資金調達であるため、長崎県は国内企業における出資先の報告も同時におこない、長崎IRの資金基盤が盤石であることをアピールしたい考えです。
クレディ・スイスは経営再建計画により「問題ない」認識
スイスの銀行大手であるクレディ・スミスは、2022年において四半期連続の赤字を出し、度重なる不祥事や投資損失が懸念されていました。
不安定な経営を再建すべく、クレディ・スミスは経営幹部を辞任させ、2022年10月に経営再建計画を打ち出しました。
経営再建計画では、どのように資金を集めるかが焦点になっていましたが、12月に約5,900億円の増資を成功させています。
さらに大規模な人員削減や低調の投資銀行部門を売却、分社化するなどの対応により社内における改革にも取り組んでいるようです。
これらの取組みについて、長崎県は特別委員会で報告をおこないました。
長崎県のIR推進課の小宮課長は「資金調達能力については影響ない」と説明しています。
また、今回のクレディ・スミスの経営再建においては、「長崎IRに関するクレディ・スミス社の役割に影響を与えるものではない」と述べています。
しかし、赤字の状態から脱却できるかは未だ不透明であり、今後もクレディ・スミスの動向については余談を許さない状況が続いています。
国内企業による資金調達は10社以上になる見通し
12月19日の県議会観光・IR・新幹線対策特別委員会では、クレディ・スミスの経営再建計画の他に、10社以上の国内企業が長崎IRへ出資することも明らかになりました。
2022年4月に長崎県が国に提出した区域整備計画では、資金調達の総額は4,383億円となっていますが、出資では1,753億円賄うとされていました。
1,753億円のうち2割を国内企業で賄うことが想定されており、今回の発表で10社以上の国内企業でこれらを賄うことになりそうです。
出資を進めている企業は、国内の大手企業や長崎県内、長崎IRの舞台となる佐世保市内、福岡県内などの計10社以上になる見込みです。
長崎県によれば、既に出融資の意思表示を示している企業には区域整備計画に添付しているとのことです。
ただ現時点で詳細の企業名が書かれておらず、このことについて吉田政策監は「IR事業者が引き続き最終条件などを調整しているため」と述べました。
今後の区域整備計画認定に向けた動きは
長崎IRは区域整備計画の認定が遅れていることから、2027年秋頃の開業は難しいのではないかと委員会で不安の声があがりました。
2022年に提出した区域整備計画について、国は審査が遅れており、現時点でいつ認定が出るのかは不明になっています。
他にも大阪府と大阪市が区域整備計画を提出していますが、大阪IRについても審査は終了していません。
未だ認定の時期が明らかになっていない状況ですが、長崎県は「現時点では全体の工期の中で調整可能な範囲」と回答しています。
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