2020年5月12日、世界最大のカジノ運営会社である「ラスベガス・サンズ」が、日本市場への参入から撤退することを発表しました。
ラスベガス・サンズは日本のIR事業者として有力な企業とされていたため、ラスベガス・サンズの撤退は大きな衝撃を与えています。
新型コロナウイルスの影響で経済の先が見通せない中、経済回復の一つとして期待されているIR事業の今後に影を落とす形となりました。
まだ各立候補の自治体は事業者を募集している段階であり、新型コロナウイルスの影響を配慮して延期するなどして対応に負われています。
ラスベガス・サンズが日本から撤退する理由
ラスベガス・サンズは今まで大阪や横浜でのIR誘致に名乗りを挙げていて、他の事業者よりも幅広くIR事業に積極的に関わってきました。
そんなラスベガス・サンズが日本におけるIR事業参入を撤退した背景には、新型コロナウイルスの影響が大きく、ラスベガス・サンズの事業にダメージを与えている現状があります。
一旦手を広げるのをストップし、経営の資源を保有している施設で集中して確保させる狙いがあるようです。
また、それ以外にも日本のIR事業そのものに諸外国との違いについて不満を持っていたとされる背景もあります。
例えば、ラスベガス・サンズが展開しているマカオやシンガポールでは、ライセンスの有効期限が20~30年と期間が長いのに対し、日本のライセンスは僅か10年しか有効期限がありません。
まだIR事業の経験のない日本に対しては、他にも今後経営側が損失を出してしまうような条件を出してくる可能性があるとして、以前日本のIR事業を信じ切っていないようです。
会長兼CEOのシェルドン・アデルソン氏は、IR事業の開発について自社が掲げている目標を達成できなくなったと説明しつつも、「今まで日本で築いてきた全ての友情、そして日本で我々が持つ強固な関係に感謝している」と日本に対して好意を持っていることをアピールしました。
このアピールには、まだ日本のIR事業に対してチャレンジする可能性を残しているととれますが、今後日本のIR事業が事業者に対して魅力あるものにならなければ、可能性が十分になることはないと見られています。
ラスベガス・サンズ撤退の影響を受けるのは横浜
当初はラスベガス・サンズは大阪IRに向けて誘致を展開していましたが、最後は横浜IRに向けて積極的に働きかけていました。
2020年1月に「第1回横浜統合型リゾート産業展」に出展して横浜IRへの意欲を見せていましたので、横浜IRの誘致における最も有力な事業者の一つになっていました。
今回の撤退について、横浜市長は新型コロナウイルスの影響によるものであれば特に「驚きはない」とコメントしています。
新型コロナウイルスの影響は日本だけでなく世界規模であるため、理解を示すのは当然とも言えます。
最有力候補とも言われたラスベガス・サンズの撤退により、横浜IRを実現させるための大きな柱を失う形になりましたが、国がIR事業の実現を目指していく以上は、横浜IRの誘致を引き続き推進していくと横浜市長は前向きな姿勢を崩しませんでした。
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