2022年3月10日、長崎県佐世保市が進めている長崎IRについて、長崎県が区域整備計画案を公表しました。
長崎IRはハウステンボスが舞台となっており、観光事業に強い佐世保市が長崎IRの誘致を積極的に推し進めてきました。
2021年12月に公開された素案からブラッシュアップされ、資金総額や参画企業やカジノ施設の詳細、2027年に定めた開業時期などについても盛り込まれています。
特に資金調達においては長崎IRを推し進める中で問題視されている事項のため、議会内でも厳しい声が相次いでいます。
そのため、事業者でもある「カジノオーストリア」が県議会で資金調達について説明し、より具体的な計画が示されました。
長崎IR最大の課題「資金調達」は目途が立った状況
長崎IRの事業者である「カジノオーストリア」は、特定目的会社として「KYUSHUリゾートジャパン」を設立しました。
特的目的会社とは主に大規模なプロジェクトを進める際に設けられる会社で、今回の場合は長崎IRに特化した事業を展開する会社です。
資金調達の額としては約4,383億円にのぼりますが、1,735億円は出資で、残りの2,630億円は国内外の金融機関からの借り入れで賄うことになっています。
出資は複数の企業によっておこなわれますが、「カジノオーストリア」や投資会社が60%と最も多く、外資系事業会社が30%、国内企業が10%負担する見込みです。
しかし、どの企業が出資するのかは明らかになっておらず、出資する企業を公開すべきとの声をあげている団体もあります。
3月10日の県議会で「カジノオーストリア」から資金調達についての説明があり、「目途は立っていて、会社も資金額も打ち出せるように動いている。4月の初めから遅くても中頃までにはきちんとさせて頂く」と説明しました。
しかし、国への区域認定申請期限が4月28日に迫っていることから、議会内では期限までに申請できるのかどうかを懸念する声があげられました。
計画で明らかになったカジノ施設の強化
今回の整備計画については、素案をブラッシュアップして作成されたものですが、当初よりカジノ施設の面積が引き上げられているなど大きな変更が見られます。
IR敷地面積のうち、カジノ施設では最大で3%以内に収めないといけませんが、今回の計画では2.38%にあたる15,000平方メートルを利用することになっていました。
面積を引き上げた理由としては「VIP層に対する戦略を高めるのが目的」であり、5階から8階までの4階層からなるカジノエリアのうち、ターゲット層に応じてマス顧客向け、プレミアムマス顧客向け、VIP顧客向けに分類されました。
VIP層専用のフロアを用意することで、特別感を演出しVIP層のリピーターを狙っていると思われます。
カジノ施設内には、テーブルゲームが約400台、コンピューターゲームが約3,000台設置され、カジノ施設としての規模は充実しています。
今後は、3月中の市民向け公聴会をおこなって事業者側と区域整備計画を作成し、県議会での議決をおこなった後に国に提出することになっています。
IR事業を本格化し、整備計画を提出する自治体は大阪IRと長崎IRの2つになる見通しです。
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