2023年6月23日、国会内で院内集会が開かれ、市民団体から大阪IRの認定取り消しを求められました。
院内集会とは市民の声を国会議員に届けるための会合であり、これまでは大阪府や大阪市に対して提訴や住民監査請求がおこなわれてきたのに対し、今回は国に対して直接求める形となりました。
2023年4月に大阪IRの整備計画に認定がおりましたが、政府から「ギャンブル依存症について実効性のある対策に取り組むこと」が条件になっています。
今回は大阪IRを国に直接認定取り消しを訴えたことで、大きな波紋を呼んでいます。
大阪IRの認定取り消しを求めたのは「夢洲カジノを止める大阪府民の会」
今回の院内集会で大阪IRの認定取り消しを求めたのは、市民団体「夢洲カジノを止める大阪府民の会」です。
会の局長である山川義保氏は、「大阪IRの整備計画には懸念点が多数あるにも関わらず、認定されたのは政治的判断が働いたとしか思えない」と訴えました。
認定のためには要求基準と評価基準の2つをクリアする必要がありますが、評価基準は7人の審査委員の平均点が採用される仕組みになっています。
カジノ関連の項目については及第点に達しているものの、特に点数が高くなかったことから、ギャンブル依存症に対する対策は不十分とみなしているようです。
ギャンブル依存症の専門医も依存症患者増加を指摘
大阪府と大阪市は政府から条件として出された実効性のある対策を打ち出すべく、様々な取り決めをおこなっています。
しかしギャンブル依存症患者を治療している久里浜医療センターの松下幸生委員長は、「海外の事例を見る限り、IR開業によってギャンブル依存症患者が一定数出ることは避けられない」と指摘しました。
大阪府と大阪市は「大阪依存症センター(仮称)」を設置し、第1回有識者会議を開いて具体的な取組みについて議論をかわしていますが、「治療だけでなく、金銭や対人関係の悩みにも一貫して対応できる体制が望ましい」と訴えています。
一度でもギャンブル依存症に陥ってしまうと薬で治療することはできず、地道な治療を続けて通常の状態に戻す方法しかありません。
そのため、依存症患者の増加を未然に防ぐようなカジノ施設内での取組みや対策が必要だということです。
今回の大阪IRの認定取り消し要求の発端はカジノであるため、対策の実効性が強く求められます。
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