2025年に開催される大阪・関西万博の会場予定地の北側で進んでいるカジノを含む統合型リゾート(IR)の整備について、博覧会国際事務局(BIE)や経済界の幹部らが、万博期間中の工事を中断するように大阪府や大阪市に求めていることが明らかとなりました。
景観悪化や騒音などを懸念しているとみられ、万博成功の弊害になるとの見解が強まっています。
しかしそれに対して大阪府や大阪市の対応は定まっておらず、今後の進展に注目が集まっています。
2030年秋開業に向けて進められている大阪IRの整備計画
大阪・関西万博は来年2025年の4月〜10月、大阪湾に浮かぶ夢洲(大阪市此花区)で開かれます。
しかし夢洲で進められているのは大阪・関西万博だけではなく、2030年を目処に開業が予定されている日本初のIR施設の整備が北隣でも進められている現状があります。
昨年2023年から地盤の液状化対策工事を開始するなど、大阪IR実現の燻りとなっている地盤問題の解決に躍起になっている現状です。
来春からは施設の本体工事に取り掛かる予定となっており、地盤改良は急ピッチで進められています。
これらの大阪IRの整備計画を盛り込んだ実施協定は国からも承認されており、2030年秋の開業に向けて計画が進められているのです。
これは大阪・関西万博と同時進行で進められることが前提になっているため、これまでは特に問題視されていませんでした。
しかし、その前提に待ったをかけてきたのが、博覧会国際事務局(BIE)や経済界の幹部らだったのです。
景観や騒音を理由に大阪IR工事を中断させたい大阪・関西万博
複数の関係者によれば、大阪・関西万博を主催している日本国際博覧会協会(万博協会)は、万博期間中の大阪IRの工事を以前から問題視していたとのことです。
大阪IRの工事が景観を損なう他、夢洲はゴミの焼却灰などで埋め立てられた人工島で、基盤整備ではより深いくい打ちも必要となり、一定の騒音も予想されていました。
島に繋がる道路は2本のみで、工事車両による交通渋滞も問題視されている現状です。
以前から吉村洋文知事ら大阪府市側と水面下で協議を続けてきたものの、折り合うことはできなかったと言います。
関係者によると、今回の大阪IR関連の工事への対応を巡って、吉村知事や大阪市の横山市長と大阪IR事業幹部らが来週にも協議をおこなう方向で検討しているとのことです。
大阪IRと大阪・関西万博の同時進行が前提となって進められてきたと思われていただけに、実は大阪・関西万博側から強い懸念を抱かれていたことが明るみになって不安視されています。
今後大阪・関西万博開催中の期間において大阪IR関連の工事が進められるかどうかが焦点となりそうですが、場合によっては大阪IR関連の工事が遅れ、2030年秋の開業が現実的でなくなる可能性も秘めています。
新型コロナウイルス感染症によって大きく遅延することになった大阪IRですが、今度は大阪・関西万博によって遅延が脅かされている現状です。
今後の協議によって大阪IRが計画通りに進められるかが決まるため、注目が集まっています。
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