元観光庁長官が長崎県議会で「大都市以外厳しい」残された福岡IRの今後は

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2024年5月15日、長崎県議会は国からの長崎IR不認定を受け、参考人として日本型IRの制度設計に携わってきた井手日本観光・IR事業研究機構副理事長(元観光庁長官)を招致しました。

長崎県はカジノを含む統合型リゾート(IR)施設の佐世保市への誘致を目指し、長崎IRを進め国に整備計画を提出していたものの、国は2023年12月に認定しないことを発表していました。

井手氏は日本のIRには一定の規模が必要であり、それを実現させるためには大都市であることが望ましいと指摘しています。

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井手氏「日本型IR実現は大都市以外だと厳しい条件」

井手氏は、認定を受けた大阪IR以外の自治体でIRの検討が停滞していることを指摘したうえで、「自治体であれ、事業者であれ、加速させるためには観光庁が2つ目、3つ目、次回の認定手続きを始めると発表することが望ましい」と述べました。

現在の日本IRが抱えている問題として、「MICEの規模あるいはホテルの客層、面積、これは10万平方メートル。この数量が大都市であれば実現できると思うが、なかなか大都市以外だと厳しい条件になっている」と、スケールが大きいプロジェクトであるため大都市であることが望ましいと指摘しました。

井手氏は「自治体であれ、事業者であれ」と述べているものの、自治体主導の大阪や長崎、また誘致を目指しながらも頓挫した他の自治体と異なり、福岡では民間レベルで事業者を巻き込みながら誘致を目指す動きがあります。

官公庁が次の募集をおこなうかを含め、今後の動向が引き続き注目されることになります。

福岡IRは民間組織主導の誘致を展開

九州では長崎IRが不認定を受けたことは記憶に新しいものの、実は長崎だけでなく福岡もかつてはIR誘致を掲げて精力的に活動していました。

2022年11月、福岡市のIR関係者がホームページを開設し、その完成度と充実な内容は大きな盛り上がりを見せました。

福岡IRの大きな特徴として「民間組織主導」があり、福岡IRのホームページ作成には民間の若きクリエイターが大きく関わっています。

大阪IR、長崎IR共に自治体が主導であるため、どうしても固いイメージが先行してしまいますが、福岡IRは民間が主なので表現方法の幅がとても広いという特徴があります。

そして福岡IRが収めることになるであろう巨額のカジノ税収は管轄行政の直接税にするのではなく、雇用者の所得税を優先とし、間接税としての課税収入を構想しており、民間ならではの狙いが垣間見えます。

最近はコロナ禍の影響も小さくなり、観光業は復帰を見せつつある中、まだまだ完全に回復したとは言えない状況です。

地元鉄道事業者であるJR九州、西日本鉄道、福岡市営地下鉄などの運賃収入増に貢献できるようになれば、地元活性化はもちろん福岡都市圏の交通インフラの充実にも繋がるのは他の候補地にはない大きな優位性になると言えます。

長崎IRが不認定を受けてしまい事実上の撤退を余儀され、大阪IRは認定を受けたにも関わらず万博との折り合いがつかず2030年開業が危ぶまれている状況です。

もし二次募集がスタートすれば、有力な候補地は東京と福岡になるであろうことは言うまでもなく、残り2箇所の候補地に名乗りを上げる可能性は高いでしょう。

今後の福岡IRの進展に高い注目が集まっています。

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