2021年11月18日、長崎県の佐世保商工会議所が、事業者向けの長崎IR説明会を開催しました。
会員向けに開催された説明会でしたが、当日は地元企業を中心に自治体関係者も詰めかけ、なんとおよそ1,000人以上が集まりました。
佐世保商工会議所は経済効果や雇用の拡大に期待を寄せており、説明会には長崎IRの設置運営事業予定者であるカジノオーストリアの社長も出席するほどの規模となりました。
一方で、長崎県の市民団体が区域整備計画の申請中止を求めており、署名と嘆願書を長崎県議会に提出する動きも見られます。
経済効果や雇用のプラス面と、ギャンブル依存症や治安維持の懸念といったマイナス面の争いは今後もまだ続きそうです。
商工会議所は経済効果と雇用を期待
11月18日に開催された会員向けの長崎IR説明会では、設置運営事業予定者である「カジノオーストリア・インターナショナル・ジャパン」の林明男社長が出席しました。
林社長は長崎IRについて、「決してカジノを長崎に持ってくるのではなく、地方創生型の新しい街づくりを目指している」と述べました。
長崎IRが目指しているのは九州を一体にした地方創生であり、地方の経済が良くなることを佐世保商工会議所は期待しています。
林社長はそんな佐世保商工会議所の期待に応えるように、長崎IRの施設においては、年間840万人の集客と3,200億円の経済効果、そして30,000人の雇用を見込んでおり、「今後は商工会議所側と相談しながら詳細を決定し、調達可能なものは極力地元に発注したい」と地方創生の実現を明らかにしました。
カジノオーストリアの見込みを受けて、佐世保商工会議所の金子会頭は、「長崎IRの施設建設によって、働く場が増え、多種多様な産業が成り立つ」と経済効果に対する期待感をあらわにしました。
地元企業への発注により地方創生を実現したい佐世保商工会議所は、長崎IRについて前向きに捉えており、経済効果や雇用に対して大きな期待を寄せていることがわかります。
一方で課題となる市民理解…反対派の動き強まる
佐世保商工会議所が長崎IRに対して掲示効果と雇用面において大きな期待を見せている一方、市民に対する理解はまだ発展途上の状況が続いています。
11月22日、長崎県は医療機関、PTA、防犯団体、警察、地域住民等が参加する「九州・長崎IR安全安心ネットワーク準備会」の会合を開催。
会合の中では、長崎IRの一番の課題であるカジノについて議論がかわされました。
具体的には賭け金や滞在時間に上限を設けるなどの対策が意見としてあがり、ギャンブル依存症だけでなく治安維持対策についても話し合われました。
このように、長崎IRが抱える問題について解決策を模索する一方で、市民団体が長崎IRそのものの中止を求めて反対運動を繰り広げています。
長崎IRの反対を求めて署名活動をおこなっていた長崎市の市民団体が、11月30日に区域整備計画の申請中止を求めて5,000人以上の署名と共に嘆願書を長崎県議会に提出。
地方自治法の規定によれば、有権者数の50分の1の署名が集まれば直接請求をおこなうことが可能となり、今回は有効署名数を満たしたため審議がおこなわれることになりました。
嘆願書は12月10日の総務委員会で審議されることになっており、長崎IRの反対運動には勢いがあります。
今後、長崎IRを推進していくためには、市民への理解がより重要になると言えそうです。
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