2021年12月21日、大阪府と大阪市が推進する大阪IRについて、区域整備計画案の骨子を発表しました。
区域整備計画案の素案はMGM・オリックスコンソーシアムと共同で作成したもので、舞台となる夢洲に建設予定の施設、2029年を目指す開業時期、資金調達を含む資金計画など、詳細に盛り込まれています。
初期投資額の調達方法について、どの企業がどのような出資、借り入れをおこなうのかも明らかになっており、大阪IRの治安維持やギャンブル依存症の対策などの対策費用についても触れています。
大阪IR内の施設配置も公開され、MICE施設やホテルの詳細についても明らかになりました。
ただ開業時期については、当初は2029年を予定していたものの、コロナ禍をはじめとする懸念材料が多く、実際には1~3年の遅れが生じる可能性も示唆しています。
注目の資金調達は大手地元企業からの出資も加わる
大阪IRの初期投資額はおよそ1兆円800億円と言われていますが、注目されているのはその調達方法です。
まずおよそ1兆円800億円のうち5,300億円については、事業者であるMGMとオリックスが40%ずつ出資するので80%が補われることになっています。
残りの20%については、少数株主としてパナソニック、ダイキン工業、サントリーホールディングス、関西電力、大林組などといった関西圏を中心にした大企業が軒を連ね、関西企業20社が少数株主として出資。
残りの勝機投資額およそ5,500億円については、三菱UFJ銀行や三井住友銀行からの借り入れで賄う予定となっており、既に出資の意思を示すコミットメントレターを取得しているとのことです。
また、初期投資額の回収については、カジノの収益による給付金、入場料などを合わせたおよそ1,060億円が大阪府と大阪市に均等に配分される予定です。
収益の一部は治安維持やギャンブル依存症対策など、大阪IRで懸念されている項目のために充てられる見込みです。
事業期間は35年と長いため、交通網は強化されており、2025年には大阪メトロ中央線が延伸し、鉄道によるアクセス強化がおこなわれています。
大阪IRの施設配置が公開、開業時期については遅延発生の可能性も
大阪IRの区域整備計画案では、敷地面積およそ492,000平方メートルにもなる舞台「夢洲」の施設配置が公開され、関西ゲートウェイゾーン、イノベーションゾーン、ウォーターフロントゾーン、結びの庭ゾーンの4つの区画が明らかになりました。
関西ゲートウェイゾーンでは、およそ3,500席の劇場やそれぞれ異なるコンセプトを提案したホテルが建設される予定です。
ホテルはレジャーからビジネス利用まで幅広く対応しており、VIP向け、ファミリー向けなどといったコンセプト重視になっています。
全客室のうちおよそ20%がスイートルームで、市内最大級の規模を誇っています。
他にも、イノベーションゾーンでは国際会議場などのMICE施設が完備され、ウォーターフロントゾーンではバスやフェリーのターミナルが備えられ、結びの庭ゾーンでは飲食店や物販店などの商業店舗が集結。
約77万平方メートルからなるIR区域を幅広く活用しており、世界トップクラスのIRを展開する計画になっています。
未だに反対意見が根強いカジノ施設への対策として、ギャンブル依存症や治安・風俗環境の対策として、「大阪依存症センター(仮称)」の設置や夢洲内に警察署や交番の設置も計画されています。
注目されている開業時期についてですが、当初は2029年の秋から冬にかけて開業できるように進めているものの、コロナ禍、夢洲の土地土壌問題、IRの税制上の取り扱いやカジノ管理規制の整備状況などの影響によって1~3年の遅延が発生る懸念もあります。
コメント