2022年2月15日、大阪府と大阪市が推進している大阪IRについて、大阪IRの事業者である大阪IR株式会社と「大阪・夢洲地区特定複合観光区域整備等基本協定書」を締結しました。
締結した基本協定書には、事業日程を遵守することや費用負担の詳細、責任の所在、そして事業者が基本協定を解除できる条件などが記載されています。
事業をおこなうためにはコロナが終息することや夢洲の土壌問題について対策を施すなども盛り込まれており、大阪IRを進めるためには幾つもの課題をクリアしていく必要があります。
そもそも基本協定とは、今後大阪IRを円滑に進めるために決めておくべきことをまとめたもので、大阪府、大阪市、そして事業者の双方が取り組むべき課題がまとめられています。
基本協定には大阪府や大阪市、事業者が負担する費用の詳細も記載
大阪IRの事業者である大阪IR株式会社とは、MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックス株式会社の2社が大阪IRの事業をおこなうために設立した会社です。
大阪IR株式会社には、以下のように計20社が少数株主となって出資をおこなっています。
- 岩谷産業株式会社
- 大阪瓦斯株式会社
- 株式会社大林組
- 関西電力株式会社
- 近鉄グループホールディングス株式会社
- 京阪ホールディングス株式会社
- サントリーホールディングス株式会社
- 株式会社JTB
- ダイキン工業株式会社
- 大成建設株式会社
- 大和ハウス工業株式会社
- 株式会社竹中工務店
- 南海電気鉄道株式会社
- 西日本電信電話株式会社
- 西日本旅客鉄道株式会社
- NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社
- パナソニックホールディングス株式会社
- 丸一鋼管株式会社
- 三菱電機株式会社
- レンゴー株式会社
出資している企業は様々な業種から成っており、大阪圏の企業が多くなっているのが特徴です。
なお、基本協定書には「IR事業を円滑に開始するために、大阪府や大阪市および大阪IR株式会社が負うべき責務や必要な手続きについて定めるもの」と定義が示されています。
具体的には、インフラの整備や環境アセスメント調査などの費用は大阪IR株式会社が負担し、土壌対策費用は大阪市が負担することなどが明記。
土壌対策費用の負担については、2月と3月に開催の大阪市議会で債務負担行為の議決がおこなわれることが条件になっています。
事業を開始するための条件が記載、条件未達なら協定解除も
大阪府、大阪市と大阪IR株式会社で基本協定書が交わされたことで、整備区域計画の完成に向けて大きく前進しました。
しかしその一方で、基本協定では大阪府、大阪市、大阪IR株式会社が協定を解除できる条件も定められ、お互いに不当な不利益が生じないようになっています。
大阪府、大阪市が協定を解除できる条件は、「大阪IR株式会社に重大義務違反があった場合」、「認定申請同意、債務負担行為の議会議決が得られなかった場合」などが定められ、一方大阪IR株式会社が解除できる条件には「国の区域認定を受けた後も新型コロナウイルスの終息が見込めない場合」や「夢洲の土壌対策が不十分で事業に著しい悪影響を与える状態になった場合」などが定められました。
新型コロナウイルスの終息については、どのような状態になれば終息と捉えれば良いのか様々な見解があると想定されるため、「区域認定後30日以内に観光需要がコロナ禍以前の水準まで見込まれていない場合」と定めています。
コロナ禍にせよ土壌問題にせよ、どちらも区域整備計画が国に認定されてからの話になっているため、まずは区域整備計画を国に提出して認定を受けることが前提です。
大阪市は2月25日に大阪市議会に区域整備計画案を提出しており、4月28日の提出期限を前に大阪市議会、大阪府議会の採決を控えています。
区域整備計画の提出から認定までに半年頃かかる見込みですが、その間に新型コロナウイルスが終息している必要があり、今後の動向が注目されています。
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