2022年10月18日、長崎IRの認定審査に関連するコンサルタント費用を巡って開かれている裁判の第1回口頭弁論がおこなわれました。
この裁判は、長崎IRのコンサルタント費用を予算に計上していたことに対して、市民団体「ストップ・カジノ!長崎県民ネットワーク」が支払い停止を求めて起こしたものです。
口頭弁論は長崎地裁でおこなわれ、市民団体と長崎県が争っています。
長崎IR初の住民訴訟の発端は「監査請求の棄却」
今回の裁判は、長崎県が国の認定審査に合格するために、コンサルタント会社との業務委託契約を締結し、業務委託費としておよそ1億1,000億円の予算を計上してことが発端です。
コンサルタント料として公金を支出することについて市民団体「ストップ・カジノ!長崎県民ネットワーク」が問題視し、違法であるとして2022年6月に長崎県に対して住民監査請求をおこないました。
しかし、住民監査請求に対し、長崎県の監査委員はコンサルタント業者への業務委託は適正と判断したのです。
監査結果によれば、コンサルタント業者への業務委託の際には弁護士などの専門家が内容を確認し、「客観的な資料として提出された」と判断したとされています。
さらに、既に国の審査への対応が求められていたことから、業務委託は適正であるとして請求の棄却が8月におこなわれました。
この棄却を受けて、監査委員の県議員が長崎IRに賛成しているため、公正な視点で監査できないとし、「ストップ・カジノ!長崎県民ネットワーク」は弁護士による外部監査を要求。
しかし監査委員は「通常の監査と異なることはない」とし外部監査の必要は認められませんでした。
監査請求を棄却され、さらに外部監査も認められなかったことから、「ストップ・カジノ!長崎県民ネットワーク」は2022年9月13日にコンサルタント料の支出差し止めを求めて、長崎県を提訴することとなりました。
長崎県IRについて訴訟に発展したのは今回が初めてとなり、大阪IRと同じくIRの賛成派と反対派の激突が過激化しています。
コンサルタント料支出裁判は長崎県が争う姿勢に
今回の裁判で原告である「ストップ・カジノ!長崎県民ネットワーク」は、「出資企業の確約書について客観的な審査がされておらず、資金調達の確実性を裏付けられない」と主張しています。
10月18日におこなわれた口頭弁論では、「国の基準を満たしておらず認定されない可能性があるため、審査のためのコンサルタント費用の支出は認められない」と改めて業務委託費の支払い差し止めを求めました。
この主張に対して、長崎県は「国の基準を踏まえて十分検討しており、認定を受けるために業務を委託するのは当然の判断」とし、原告側の「ストップ・カジノ!長崎県民ネットワーク」に請求を棄却するように求めています。
また、コミットメントレターについては、住民監査を棄却した際に、IR事業者や資金提供者の了承がなければ公表できないとして、コミットメントレターの公表については正当性を主張していました。
次回の裁判は12月19日を予定していますが、裁判がどのような影響を与えていくのか今後の展開に注目が集まっています。
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