2022年12月8日、国土交通省観光庁は国会内で開かれた会合にて、大阪IR、長崎IRが今年4月に提出した区域整備計画の審査完了時期について言及しました。
区域整備計画の審査については、「年内に認定の可否を判断するのは難しい」と説明し、認定について合格するのか、不合格になるのかさえも不明瞭な状態で2022年は幕を閉じることとなりました。
区域整備計画を提出した際に、大阪府や大阪市、長崎県は遅くても今年の秋ごろには認定結果がおりると見込んで工事の着手を計画していたため、大きく遅延となる可能性が浮上。
現状、国から審査結果が出る時期については未定となっており、次の一手を打つこともままなりません。
時期が未定になっている理由については、「中立性を確保するため、区域整備計画の認定に関する審査委員会の会議は非公開となっています」としており、どれくらい審査が進んでいるのかもわからないままとなっています。
大阪IRの審査が長期化している理由に「夢洲の土壌問題」
国が区域整備計画の審査に時間がかかっている理由は幾つかありますが、大阪IRに限って言えば、夢洲の土壌問題が大きく絡んでいるのではないかと言われています。
夢洲は埋め立てによって誕生した人工島ですが、埋め立てに使われたのは建設残土や土砂、廃棄物等でした。
大阪港周辺には、日本の高度経済成長を支えた重化学工業が数多く立地され、土壌が汚染されている懸念があります。
そのため夢洲の立地には、土壌汚染や液状化、地盤沈下などといった問題が指摘されているのです。
夢洲は大阪IRの前に大阪万博の舞台でもあるため、大阪府や大阪市は夢洲の土壌問題を大きく懸念しています。
対策に必要な費用には、土壌汚染対策に360億円、液状化対策に410億円、地中埋設物の撤去に20億円と総額790億円にのぼります。
さらに、地盤沈下対策も必要と言われているので、対策費用はさらに膨らむことがわかっているのが現状です。
土壌問題の課題はわかっているものの、実際に対策には多額の費用がかかることになるため、大きな負担になっています。
大阪府・大阪市のIR担当局部は「開業時期に影響はない」
大阪IRを実現させるためには土壌問題の解決が必要不可欠となりますが、土壌問題については今後も課題として大きくなる懸念があります。
国は11月に土壌問題に対する具体的な解決策や時期などを記した資料の追加提出を求めたり、土壌対策や地盤沈下に対して過小評価がないかなどといった技術的な確認もおこなったりしている背景があるのです。
ただ、これらの審査については、「あくまで地盤について慎重に審査をしているということだけ」と松井大阪市長がコメントしている通り、大阪IRが不利になるようなものではないという認識を示しています。
大阪IR担当部局は「今すぐ開業時期に影響があるわけではない」とし、土壌問題によって開業が遅れるなどの影響はないとしていますが、認定における今後の見通しが立たないため、今後のスケジュール遅延は免れない可能性は高そうです。
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