2023年3月19日、スイス最大手の銀行であり、クレディ・スイスのライバル企業であったUBSが、クレディ・スイスの買収について合意に至ったと発表しました。
クレディ・スイスは長崎IRの資金調達先であり、これまでは特に計画に影響を及ぼすほどの事ではないと判断されていましたが、買収されたとなると影響が出る可能性は非常に高くなります。
これまで資金調達先として重宝していただけに、長崎県はIR誘致においてどのような影響があるのか情報収集を急ぐ事態となっています。
今まで経営不安の波に揉まれていたクレディ・スイス
長崎IRの資金調達先としてIR誘致の一翼を担っていたクレディ・スイスですが、3月19日にスイス最大手の銀行であるUBSに買収が決まりました。
クレディ・スイスはこれまで不祥事が相次いでおり、投資損失を招いて経営不安が広がっていた背景があります。
経営不安は数字にも顕著に表れており、2022年に四半期連続の赤字を叩き出していました。
10月に経営再建計画が発表され、スイスの中央銀行はクレディ・スイスへ約7兆円の資金供給で支援をすると表明。
何とか経営を持ち直そうと動きが活発化していましたが、それでもクレディ・スイスの株価下落は止まることなく、経営不安は広がる一方でした。
このような事態の中、UBSが買収に乗り出し、世界的な金融市場の動揺を鎮静化させることになったのです。
長崎IRの投資規模としては、区域整備計画によれば総額で4,383億円ですが、そのうち借り入れは2,630億円と半分以上を占めています。
長崎IRは大阪IRと比べると規模が小さいと思われがちですが、長崎IRの舞台はハウステンボスであり、非常に大きな規模を誇ります。
ハウステンボスのある佐世保市はレジャー施設の運営についての経験値が豊富ですが、資金を調達できなければ経営ができません。
借り入れ先はクレディ・スイスだけではないですが、資金調達先の一つとして重要な役割を果たしていたのは事実であり、長崎IR実現に向けて影響が全くないわけではないと言われています。
大石長崎県知事は情報収集を急ぐ方針
今回のクレディ・スイスの買収を受けて、長崎県はIR誘致の計画を継続しておこなえるかどうか、計画への影響について調査する必要性が出てきました。
これまではクレディ・スイスに経営不安が広がっていても、長崎IRへの影響は特にないとの見解を示していましたが、大石知事も焦りの色を隠せません。
今回の買収合意について大石知事は「買収となると、いろいろと事情が変わると思う。IR誘致においてどのような影響が生じうるのか、今後まず情報収集をしなければならない」と述べています。
しかし、今回の件で長崎IRが後退するとの認識はなく、「何があっても、まずはIRをしっかり実現するという思いは変わりないので、置かれた状況で最大限の努力をしていかなければならない」と長崎IRを諦めない姿勢を示しています。
今回の買収により一番影響を受けるのは区域整備計画そのものであり、当初の計画どおり資金が調達できるのかが今後の鬼門となりました。
未だ区域整備計画の審査が継続しておこなわれている中、クレディ・スイスの買収が審査に影響が出るのか、今後の動きに注目が集まっています。
コメント