2021年9月21日、長崎県は県議会定例会の一般質問にて、長崎IRについてカジノ収益の試算と開業予定時期について言及しました。
IR事業予定者であるカジノオーストリア・インターナショナルの計画によれば、開業時期は最短で6年後の2027年を予定しています。
カジノによる粗収益は1,500億円にのぼる見通しで、長崎県にはその内15%となるおよそ225億円が年間給付金額になると見られ、カジノ入場料であるおよそ84億円を足した310億円が収入になると見込まれています。
長崎IRにより10,000人もの雇用創出を予定していますが、総事業費3,500億円の資金調達方法や、市民への理解について、どのようにクリアしていくかが今後の大きな課題です。
長崎IRのカジノ収益は年間1,500億円と試算
IR事業予定者であるカジノオーストリア・インターナショナルは、長崎IRのカジノ収益について年間およそ1,500億円と試算しています。
仮に年間1,500億円の収益が発生するとした場合、長崎県に入ってくる収益はIR整備法で15%を給付金として収められる年間225億円になる見通しです。
また、長崎県にはカジノ入場料の50%が給付金として納付される見込みとなっているため、1人あたり6,000円の入場料のうち3,000円が収益となります。
試算ではカジノ入場料による長崎県への給付金は年間およそ84億円と言われており、カジノ収益の給付金と合わせると年間で給付金総額はおよそ310億円になる想定です。
一方、カジノオーストリア・インターナショナルは長崎空港と長崎IR区域を海上交通網で結ぶ整備計画を立てており、高速船の運航を提案しています。
定員250名程度の高速船で、所要時間はおよそ30分とアクセスが良いことから、すでに県内や九州内の海上交通事業者との協議を開始しているとのことです。
開業は最短で2027年としていますが、大阪IRよりも早く開業する計画となっており、区域整備計画が順調に認定がおりることを前提にしています。
ただ、まだ事業費である3,500億円の資金調達や市民への理解など、クリアすべき課題が残っている状況であり、今後の対応に注目が集まっています。
事業者公募で落選となった企業から抗議も、知事は一定の判断と反論
IR事業予定者としてオーストリア・インターナショナルが選定された一方で、落選となったオシドリ・コンソーシアムは県に対して「選考プロセスである背面調査に不正の疑いがあった」として抗議をおこないました。
オシドリ・コンソーシアムの抗議を受けて、9月16日におこなわれた長崎県議会定例会で自民党の溝口議員が質疑。
焦点となったのは、事業者選定の審査における県側の対応で、事業者の背面調査について言及しました。
中村長崎県知事は、「調査結果については、長崎県として一定の評価や判断をおこなったうえで法定協議に臨む必要があった。そのため、内容は審査委員会へ開示をおこなっていない」と事業者の背面調査について述べました。
審査委員会の結果を元に佐世保市と協議し、設置運営予定事業者の選定をおこなっていると主張しています。
オシドリ・コンソーシアムは、落選を不服として8月13日と9月1日に県に対して公文書開示請求書を提出しました。
公文書で開示を要求している書類は「長崎県が依頼した調査会社が発行した廉潔性調査の報告書」と「長崎県の顧問がおこなった助言の内容」などですが、長崎県としては一定の判断によって佐世保市と協議をおこなって決定したことであるため、応じることはないとのことです。
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