2021年11月4日、オリックス株式会社が大阪IRの事業者に選定されたことを受け、返済期限の定めのないエクイティ出資として最大で2,700億円規模の出資を見込んでいることを明らかにしました。
なお、この出資額は共同提案者であるMGMリゾーツ・インターナショナルと同じ規模の額になっています。
初期投資額はおよそ1兆円800億円となっていますが、オリックスとMGMリゾーツ・インターナショナルの負担割合は40%ずつとなっているため、今回の出資によりオリックス負担分のおよそ半分が提供されたことになります。
残りの20%は関西系企業からの出資を期待しており、現在出資する企業を募集している段階です。
一方で、当初の計画よりも新型コロナウイルスの影響が大きく、大阪IRのターゲットを外国人観光客から国内に変更するかどうかの判断も迫られています。
オリックスはターゲットを国内に向ける検討を進めていますが、MGMリゾーツ・インターナショナルは特にターゲットを変更していないため、MGMリゾーツ・インターナショナルの計画と相違していることが今後の課題となりそうです。
初期投資の負担割合はオリックスとMGMが40%ずつ、残り20%は関西系企業か
オリックス株式会社の矢野執行役は、11月4日におこなわれた決算会見にて、初期投資額のうち半分強をノンリコースローンにてまかなうことを明らかにしました。
ノンリコースローンとは、貸し手側が原資の返済を融資対象の資産以外に求めない資金融資のことで、債務者である大阪IRに対して人的責任を追求しないとしています。
負債を除いた初期投資額の負担割合については、オリックスとMGMリゾーツ・インターナショナルが40%ずつ負担する計画を発表。
残りの20%については、関西系企業などの出資でまかないたいとしてり、現状は出資してくれる企業を募っている段階とのことです。
矢野執行役は「大阪全体を底上げしていくためには関西系企業からの出資を期待している」として、関西系企業に呼びかけをおこないました。
関西系企業には大手企業も多いため、幾つかの企業が応えてくれると期待を寄せています。
オリックスは大阪IRのターゲットを日本人への舵切りを検討
元々大阪IRの計画が始まった際、まだ新型コロナウイルスによる影響がなかったことなどから、主なIRのターゲットはインバウンド、つまり訪日外国人でした。
しかし今はコロナ禍による外国人の来日が難しい状況であるため、インバウンドを見込むのは難しい状況になっています。
オリックスの矢野執行役は、開業時期を2029年と見越したうえで、「現在は客は全員日本人、日本人だけでどれだけ回せるかの前提でプランニングを作っている。10%以上のIRR(内部収益率)は十分回せることを前提に試算中だ」と独自にターゲットを日本人とする計画を持っていることを明らかにしました。
MGMリゾーツ・インターナショナルがオリックスよりおよそ2倍の試算を算出していることについては、「MGMはインバウンドをあてにしているためあまりあてにしていない。あくまで日本の投資家と日本の顧客を対象にして算出をおこなっている」とし、MGMの計画との相違が浮彫になっています。
今後は大阪IRのターゲットをどこに据えるのか、オリックスとMGMリゾーツ・インターナショナルとの計画をどのようにすり合わせていくのかが課題となっています。
コメント