京阪ホールディングスは2024年のNHK大河ドラマや2025年の大阪万博、2029年の大阪IRなどを契機に、沿線地域への誘客を目的に京阪電気鉄道沿線の人口減に歯止めを図ります。
具体的には、大阪と京都を結ぶ京阪本線をメインに座席指定電車を増やし、着席需要を巻き込んで収益を増加させる施策が挙げられています。
新型コロナウイルスが第5類に指定されたことで観光需要が増加していることから、観光の交通手段として京阪本線の需要を高める狙いがありそうです。
目標としては、2030年度の営業利益で2022年度と比較して2.1倍となる430億円以上を掲げています。
京阪ホールディングスが抱く沿線人口減の懸念
京阪電鉄沿線における生産年齢人口は、2030年には1995年と比較するとおよそ20%減、2045年になるとおよそ35%減になると言われています。
生産年齢人口が減ってしまうと、通勤で電車を利用する人が減ってしまうため、収益は減少してしまいます。
さらに、京阪電鉄の社員は当然京阪電鉄沿線に多く住んでいるため、沿線の生産年齢人口の減少は人材確保を困難にしてしまうと懸念されているのです。
沿線人口が減少してしまっても利益を確保できるようにするためには、運行する本数や頻度は維持してサービスをこれまでと同等に維持しつつ、高い需要が見込めるところに供給を増やすなどといった合理的な施策が必要になります。
また、ワンマン運転区間の拡大も検討し、人材を効率よく活用する施策も模索していく考えです。
アフターコロナの需要を見込んだ積極的戦略
新型コロナウイルスが第5類に指定され、アフターコロナによる観光の需要が急拡大しています。
京阪ホールディングスの加藤会長はアフターコロナを見据えて「チャレンジングな成長を目指す」と述べ、積極的に需要を創出させて収益に繋げる施策を展開します。
京阪電鉄の周囲には、今後大規模なイベントが目白押しで、直近だと2024年に放送が予定されている大河ドラマ「光る君へ」では、主人公の光源氏の舞台や大河ドラマ館が開設予定になっており、沿線となっている京都の宇治や滋賀県の石山寺をビッグチャンスの拠点と捉えています。
また、訪日外国人(インバウンド)の需要も増加しており、コロナ禍前に戻りつつある背景があります。
インバウンドが増加すれば、2025年予定の大阪万博や2029年予定の大阪IRによる需要増加が見込めるため、既に舞台となる「夢洲」を鉄道で繋げる施策をおこなっています。
大阪万博と大阪IRは京阪ホールディングスにとって「大きなチャンス」と捉えており、今後の継続的な利益確保の柱を見据えています。
今後はインバウンド増加に向けて、利便性を向上したり、デジタル乗車券の普及を進めたりと、さらなる事業拡大に向けた施策を推しはかっていく考えです。
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