2021年10月11日、岸田文雄首相は、首相就任後初の衆議院代表質問で、初めてIR事業について「重要な取り組み」と誘致を進める考えを示しました。
これは野党議員からIR事業について投げかけられた質問に答えたもので、現在全国各地の自治体で議論がおこなわれているIR事業について前向きの姿勢を見せました。
特に大阪、長崎、和歌山の3つの府県でIR誘致の立候補を表明しており、翌年の4月28日提出期限の「区域整備計画案」の作成に弾みを持たせています。
今後もIR誘致に関する様々な疑問や反対の声が聞かれることが想定されますが、首相がIR事業について明確な立場を示したため、IR誘致の候補地もIR開業に向けて動きを活発化させるものとみられています。
岸田首相のIR事業に対する答弁で経済効果を強調
衆議院代表質問にて立件民主党の辻元清美副代表は、IR事業についてポストコロナ時代におけるMICE施設の有効性や、ギャンブル等依存症に対する疑念について岸田首相に言及しました。
それに対して岸田首相は「今後、我が国が観光先進国となる上で、IR事業は重要な取り組みである」と明言し、改めてIR事業の重要性や必要性を強調しました。
さらに、「IR事業はギャンブル等依存症などを講じつつ、カジノだけでなく国際会議場や大きなホテルなどを建設し、家族で楽しめる観光拠点をつくるもの。多くの観光客を呼び込むことで生まれる地域の経済効果は大きいと考える」と述べ、IRはカジノだけでなく総合のリゾートとして存在していることをアピールしています。
また、現在IR誘致を掲げて検討している候補地についても言及しており、「現在、それぞれの地方自治体が様々なリスクを含めて、区域認定申請に向けた準備を進めている。引き続きIR整備法などに基づいて、厳格なカジノ規制の実施を含め、必要な手続きを適切に進めていく」と大阪、和歌山、長崎といった候補地に対するねぎらいを込めた答弁をおこなっています。
コロナ禍で疲弊する中、国民の関心はコロナ対策と経済対策
現在、新型コロナウイルス感染症の拡大により、日本の経済は大きく揺らいでいる状況です。
今国民が求めているのはコロナ禍による経済的困窮の支援や解消、そして所得向上のための具体策の提示です。
そんな中で、IR事業においては汚職事件が起きていたり、ギャンブル等依存症への懸念が以前と強いことから、国会の中でもIR事業について反対する声は小さくありません。
しかし、それでも経済対策の一環としてIR誘致があるとの姿勢を政府は崩していないため、「経済効果に繋がるIR事業」をしっかりと国民に伝えていく必要があります。
岸田首相は就任直後の10月14日に衆議院解散を発表しており、31日には衆議院銀総選挙の投開票がおこなわれます。
今回の衆議院選挙はIR事業の是非を問う場にもなっており、もし自民党が敗北するようであればIR事業は振り出しに戻る可能性は否定できません。
首相就任後初の選挙であるため負けられない闘いになりますが、今後のIR事業を決める選挙に早くも注目が集まっています。
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