2023年6月14日、りそな総合研究所の荒木秀之氏は大阪IRのカジノ以外の事業、いわゆるノンゲーム事業の売上について、整備計画で示されている1,000億円の2.5倍にあたる2,500億円に引き上げられると公表しました。
IR事業における売上の8割はカジノ事業が賄うとされている中での発表に、ノンゲーム事業への期待感が示された形となりました。
売上のほとんどをカジノに依存しているIR事業の現状
大阪IRの整備計画によれば、IR事業全体の年間売上は5,200億円となっていますが、そのうち4,200億円はカジノ事業によるものです。
つまり売上の8割をカジノ事業が賄う試算となっており、カジノ事業がなければIRが成り立たないことを示しています。
これは大阪IRに限ったことではなく、同じく国にIR整備計画を提出した長崎IRも同様です。
しかし、りそな総合研究所の荒木秀之氏は、カジノ事業を除くノンゲーム事業において、今後施設内容を充実させていけば年間売上は1,000億円から2.5倍の2,500億円にまで引き上げられると発表しました。
もしノンゲーム事業の年間売上が2,500億円に引き上げられた場合、IR事業全体の年間売上は6,700億円となり、カジノ事業が占める割合はおよそ6割に低下します。
また、カジノ事業が不調で全体の年間売上が5,200億円に留まったとしても、ノンゲーム事業の売上が2,500億円あればカジノ事業が占める割合はおよそ5割となり、カジノ事業とノンゲーム事業の売上バランスが図られることになります。
IR法ではカジノ事業の敷地面積はIR全体の3%未満にしなければいけませんが、カジノありきのIR事業になっていることが今まで問題視されていました。
ノンゲーム事業が充実化すれば、カジノ事業への依存度を低下させることができます。
シンガポールのIRを参考にノンゲーム事業の充実化を
荒木氏は、発表の中でシンガポールのIRを参考にすることについても言及しました。
実はシンガポールのIRではカジノ事業が占める売上の割合が日本より低く、ノンゲーム事業が25%前後と高くなっています。
シンガポールのIRでは、ノンゲーム事業が充実しており、ホテルやレストラン、国際会議場以外にも、テーマパークや水族館、マリンレジャーなどがあります。
カジノ施設そのものは世界的に見ればそこまで珍しいものではないので、訪日外国人を増やしていくためにはノンゲーム事業の充実が必要です。
ノンゲーム事業が充実すれば新たな雇用が生み出されることになるため、関西圏の経済発展に大きく繋がると期待されています。
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