大阪市の港営事業が大阪IR土地改良のため赤字に転落…今後の黒字の見込みは

2023年7月21日、大阪市は水道など計5つの公営企業、準公営会計の2022年度決算見込みを発表しました。

決算見込みの内、港営事業は、大阪IRを人工島である「夢洲」に誘致をおこなうためにかかる費用を計上したことなどにより、およそ8億4,300万円の赤字に転落しました。

夢洲にかかった費用は主にインフラ整備に充てられていますが、土壌汚染や液状化のリスク排除が最優先事項となっています。

港営事業が赤字になるのは2014年度以来で8年ぶりですが、黒字を見越した狙いもあるようです。

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港営事業赤字転落の原因は「大阪IRのための土地改良」

2023年4月、日本初となるIR事業の区域整備計画案認定がおこなわれ、大阪IRの事業は本格化する動きを見せています。

これで日本初となるランドカジノが建設されるといわれていますが、実は区域整備計画案の認定を巡っては、国から幾つか条件を出されており、条件をクリアできなければ実質大阪IRの開業は不可能と言われています。

国から出されている条件の一つに、大阪IRの舞台となる夢洲の土地改良があります。

実は夢洲は土壌汚染や液状化のリスクが判明しており、大阪IRを開業にこぎつけるためには土地改良をおこなわなければいけません。

大阪市によれば、IRの地盤対策費には788億円かかり、2025年開催予定の大阪万博跡地の土地改良費を合わせるとおよそ1,554億円かかる見込みです。

この1,554億円が2022年度の決算から計上され、赤字転落に繋がったと見られています。

なお、今回の土地改良に伴う出費があったため、夢洲地区では投資に見合った費用を回収するのに必要な土地売却の単価が、1平方メートルあたり約153,000円となり、前年度の約66,000円からおよそ2.5倍に膨れ上がる形となりました。

つまり、1平方メートルあたり約153,000円以上の価値がなければ、売却しても赤字になってしまいます。

なお、企業債としては前年度より141億400万円増え、合計で1,392億5,500万円になる見込みです。

2024年度からは賃料で黒字を見込むが…

今年は決算は赤字に転落しましたが、現在大阪IRの誘致予定地である夢洲地区は大阪市が賃貸借契約を結んで事業者に貸し出す予定で、賃料によって黒字を見込む計算になっています。

事業者には2024年度から35年間に渡って貸し出す予定で、毎年約25億円の賃料が支払われるため35年間で約880億円の賃料収入を見込んでいます。

この賃料収入により、2024年度頃から黒字になる見通しですが、土地改良の整備に追加費用が発生しないことが前提になっていると思われますので、今後の展開によっては再び赤字になる可能性もあります。

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