2022年12月、長崎県は「第2期長崎県ギャンブル等依存症対策推進計画」の素案を発表しました。
素案によれば、長崎県内のギャンブル等施設の利用状況結果報告や、若年層向けへの依存症予防教育の必要性などがまとめられています。
依存症対策の一環として、依存症診療ネットワーク体制を強化すべく、長崎IR建設予定地の佐世保市内に依存症の人らを支援するための相談室が開設されました。
IRはカジノ売上がなければ経営ができないほどカジノに依存しているため、カジノが世間に認められなければIR事業は成り立たない状況です。
長崎IRを成功させるためにはカジノに対する懸念の払拭が必要不可欠であり、ギャンブル等依存症対策はその根幹を成しています。
長崎県内のギャンブル売り上げは増加傾向、パチンコは特に人気
「第2期長崎県ギャンブル等依存症対策推進計画」の報告によれば、長崎県内の公営ギャンブルについて、競艇場や競輪場、場外勝場投票券発売所などの入場者数は減少しているものの、売上は増加の一途を辿っています。
このことから、新型コロナウイルス感染症の拡大も影響していると考えられ、外出しなくても参加可能なインターネット投票が増えているとの見解です。
また、公営ギャンブルではありませんが、パチンコやパチスロなどの遊技場の店舗数も減少傾向にあります。
ただ、遊技場の場合は店舗数は減少傾向でも10万人あたりの店舗数は多く、1店舗あたりの規模は拡大傾向にあるために過去1年間でパチンコやパチスロを楽しんだ人の割合は全国平均よりも高いという調査結果が発表されました。
長崎県はこれらのデータから、「現状はギャンブルが身近で気軽に楽しめる環境にある」との見解を示しました。
つまり、ギャンブル等依存症そのものはIR関係なく、対策は重要であることがわかります。
また、「ギャンブルを始めた年齢が早くなることが、ギャンブル等依存症へのリスクを高めることに繋がる」との調査発表もあり、今後は特に若年層に向けた依存症予防教育を重点的に取り組む考えです。
長崎IRの舞台となる佐世保市に依存症相談室を開設へ
ギャンブル等依存症が懸念される一方で、2019年度に長崎県内の精神科病院に入院した患者は14人、医療機関を一度でも受診した人は54人と想定よりも少ない状況となっています。
検査すれば依存症だと診断される人であっても、自分は依存症でないと思い込んでいたり、受診したとしても特にギャンブルそのものが問題だと思っていなかったりと、大きな問題として捉えられていない可能性があるとの見解を示しています。
ギャンブル等依存症を広く伝え、問題を意識的に解決していく姿勢が求められています。
長崎県は長崎IRの舞台となる佐世保市に、「長崎ダルク・させぼ相談室」を2022年7月に開設し、12月からは当事者や家族らが体験を語り合う「依存症ミーティングルーム」を開始しました。
相談室にはスタッフ2名が常駐して個別相談に応じたり、必要に応じて医療機関などへの紹介もおこなっています。
今後長崎IRによってギャンブル等依存症の当事者が増える懸念があるため、相談室をきっかけに、市内での支援活動の拡充を目指しています。
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