9月19日、大阪IRを手掛ける大阪府と大阪市は、IR建設予定地である「夢洲」の液状化対策費を公表しました。
「夢洲」の液状対策費は255億円を投じると伝えられましたが、当初予定していた費用からは大きく下回る金額の公表となりました。
液状化のリスクが発覚したのは2020年の調査が発端で、それ以降液状化の対策を検討、当初は液状化の対策費として410億円必要であると発表していた経緯があります。
結果的に対策費は小さくなりましたが、その原因は対策が必要とされる範囲が想定よりも狭かったことが挙げられています。
大阪IR舞台「夢洲」の液状化対策の詳細
2020年の調査以降、夢洲の液状化対策が専門家会議によって検討が進められ、対策内容の詳細が9月19日に公表されました。
まず対策方法ですが、「セメント系固化工法」が採用されることになりました。
大阪府と大阪市は当初「サンドコンパクションパイル工法」の採用を検討していましたが、それでは効果として薄い可能性が浮上したため、より効果が見込める「セメント系固化工法」の採用を決定したということです。
対策費用が安く抑えられた最大の原因となった対策範囲については、ベースは建物直下にしたことで「もし液状化が発生したとしても、建物に被害が生じない範囲」と定められました。
「セメント系固化工法」を採用したことにより、建物への被害が抑えられたことで当初予定していた範囲より狭くなったのです。
その結果、対策費用は当初予定していた410億円から大幅に引き下げられた255億円となりました。
一方で地盤沈下対策費は見通し立たず
大阪府と大阪市は土壌対策費としては788億円かかると試算した際、そのうちの410億円を液状化対策に充てると公表していました。
つまり、土壌対策費とは液状化対策だけではなく、他の土壌問題も抱えていることがわかります。
実は、夢洲の土壌対策は液状化問題だけでなく、地盤沈下や土壌汚染にも及んでいるのです。
特に地盤沈下については、未だに対策費がどれくらい必要なのか見通しが立っておらず、788億円とした試算の中にも含まれていません。
つまり、地盤沈下対策費は上限がなく、相当な費用になることが懸念されているのが現状です。
地盤沈下は他の問題とは異なり、一度発生してしまうと完全回復が難しいという大きな懸念があります。
さらに地盤沈下は長時間かけてゆっくりと進むため、被害として認識されにくいだけでなく、今後どうなるのかの見通しも立てにくい特性があります。
つまり、問題点の詳細の把握が大変で、かつどれくらい対策をすれば対策として完了するのかが技術的にも試算が難しいのです。
大阪市の横山市長も9月5日におこなわれた記者会見で「非常に想定が難しいケースだ」とコメントしており、地盤沈下の対策が難航していることを認めています。
このような状況をIR反対派が黙っているはずもなく、市民団体「夢洲カジノを止める大阪府民の会」は、「公費負担の問題点を先送りにしたまま開業に向けた準備を進めていく府や市の姿勢や方向性は疑問」と非難の声を挙げています。
地盤沈下の対策どころか、想定すらままならない状態で大阪IRは本当に大丈夫なのかと様々な方面から疑問が投げかけられている状況です。
大阪IRを推し進めていくためには、これらの声に対して、早急に対策を掲げることが求められています。
コメント