大阪府と大阪IR事業者が実施協定を締結、2030年秋開業が目標も課題残る

9月28日、大阪IRを推進している大阪府はIR事業者である「大阪IR株式会社」との間で実施協定を締結しました。

実施協定を結んだことで、大阪IR実現に向けてまた一歩前進した形となり、今後はカジノ管理委員機の審査を受けることになります。

審査をクリアすれば、日本で初となるカジノ免許の申請、交付の手続きに進むこととなり、大阪IRの正式開業に向けて動く予定とのことです。

実施協定が締結されたことを受けて、大阪府知事である吉村知事は、「世界最高水準のIR実現に向けた大きな節目の日である。大阪や関西の成長の起爆剤になることを確信している」とコメントしています。

目次

実施協定締結後の手続きとスケジュールについて

今回の実施協定においては、大きな課題として地盤改良との同時並行となり、まずはIR予定地である夢洲の液状化対策工事の着手から始まります。

一連の地盤改良工事が完了し問題がなければ、2025年の春頃からIR施設の工事に着手し、本格的なIR工事がスタートする予定です。

なお、実施協定には事業者側が違約金なしで契約を解除できる「解除権」が盛り込まれており、現在課題となって残っている地盤改良や資金調達などが解決していないなど前提条件をクリアできていなければ、2026年9月までであれば撤退が可能となっています。

逆に言えば、2026年9月を過ぎると、撤退する際は違約金が発生することになるので、それまでに「大阪IR株式会社」は状況をしっかりと見極める必要があると言えます。

解除権を設けることについては大阪府にとっては大きなリスクになりかねませんが、大阪市の横山市長は解除権設定について「1兆2700億円もの民間投資をして頂く中で、一定の条件を付して解除権を設定するのは一定の合理性がある。自治体が過渡にリスクを追う契約形態にもなっていない。投資については大阪の成長を前に進めていくものと力強くとらえている」と9月27日にコメントしており、翌日の実施協定の締結を決定的なものとしました。

IR施設の工事については2030年の夏に完了する予定で、そのまま秋の開業にこぎつけるのが現状のスケジュールとなっています。

まだまだ残る大阪IR実現への課題

今回、大阪府が大阪IR株式会社と実施協定を結んだことで、2030年の大阪IR実現に向けて大きく前進しました。

しかし、その一方で大阪IRには課題が大きく残っています。

政府が4月にIR計画について認定を下した際、幾つか条件を出しており、条件をクリアしなければ開業に難しいとされています。

出された条件の中で、現状大きく進展を見せていないのが、「土壌問題」「ギャンブル依存症対策」です。

土壌問題については、液状化対策については想定範囲や費用の算出も終わっていますが、地盤沈下については範囲すら想定できておらず、対策実施の目途は立っていません。

ギャンブル依存症対策については、これまで大阪府と大阪市は住民に対して説明会をおこなっているものの、大阪IRそのものに対する疑念の声が未だに多く挙がっている状況です。

説明会の紛糾ぶりを見る限り、住民の理解を得られているとは言い難い状況です。

これらの内容について、大阪府と大阪市は「事業者と連携しながら具体的な対応を検討して取り組む」とコメントしています。

しかし、事業者と連携しなければいけないのにも関わらず、これらの課題についての対応策は実施協定に盛り込まれていないのが現状です。

盛り込まれたのは事業者の解除権だけで、実際にどのような対策をおこなっていくのかはわかっていません。

今後どのような対策を打ち立てて課題を解決していくのか、今後の進捗に注目が集まっています。

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