京阪HD、中之島線延伸は大阪IR開業予定の2030年に実現困難との見解

2024年5月10日、大手私鉄である「京阪ホールディングス」は、京阪電鉄中之島線の延伸について、大阪IR開業予定の2030年までに延伸を実現することは難しいという見解を示しました。

京阪ホールディングスとしては、IR事業者が違約金を支払う必要なく撤退可能な「解除権」を行使するかどうかも踏まえて、今後延伸に向けてどのように対応をおこなっていくのか検討を進めていくとしています。

「解除権」の行使は2026年9月末が期限となっているため、それまでには今後の方針を示す必要があります。

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中之島線延伸の壁は物価高騰か

大阪IRは関西・大阪万博が開催される大阪の人工島「夢洲」が舞台となっており、2030年秋ごろの開業を目指して着々と工事が進められています。

長崎IRが国から許可が下りなかったため、日本におけるカジノ実現は大阪IRのみとなり、IR事業にとっては最後の砦となりました。

そんな大阪IRの事業者として準備を進めている京阪ホールディングスは、夢洲へのアクセスの向上を目的に、京阪電鉄中之島線の中之島駅からさらに西へ延伸させ、大阪メトロ中央線の九条駅までを結ぶ延伸計画を検討していました。

今回の中島線延伸計画について、京阪ホールディングスの松下靖常務は10日に開かれた決算会見にて、「IR事業者が違約金を払うことなく撤退できる「解除権」に加え、昨今の物価高騰などを見極めることが必要だ。2030年のIRの開業を見据えると、昨年度までに判断をしようと思っていたが現段階では判断が難しい状況にある」と述べ、物価高騰などの問題で2030年のIR開業までに中之島線の延伸を実現するのは難しいとの考えを示したのです。

松下常務は続いて、「引き続きグループ全体で延伸効果を引き出す施策など、検討を進めていきたい」と述べ、延伸した場合の採算性や2026年の9月に期限を迎える「解除権」の行使を考慮して、最終的に計画をどうするか検討、判断をおこなう考えを示しました。

中之島線延伸計画は2017年にスタートした大阪IRを見据えた計画

中之島線延伸計画とは、中之島駅から中央線九条駅までのおよそ2キロメートルを結ぶ計画です。

中央線コスモスクエア駅と大阪・関西万博、そして大阪IRの舞台となる夢洲駅が接続予定のため、九条駅で中央線と接続させることで、京都と大阪IRのある夢洲を1度の乗り換えで繋ぐことが可能となります。

大阪IRへのアクセスが見込めると踏んで立ち上がった計画であり、2017年7月に京阪ホールディングスの加藤好文社長が構想を明らかにしました。

当時は2024年のIR開業に合わせての計画でしたが、新型コロナウイルス感染拡大などによって延長が続いており、事業化に向けた動きも鈍化していたことから実現に向けた検討は思うように進んでいなかったと見られています。

その後大阪IR実現の目途が立ち、2023年7月に京阪ホールディングスは検討委員会を立ち上げて中之島線延伸計画について検討を進めてきました。

ちなみに、2018年2月には夢洲の大阪IR開業に合わせて九条駅まで延伸した後、さらに延伸して西九条駅まで伸ばす構想も明らかにしていました。

しかし構想の域は超えておらず、現状は九条駅までの延伸に留まっていることから、西九条駅までの延伸は実現性は極めて低いと見られています。

中之島線延伸は大阪IRにとって影響が大きいため、延期してでも延伸を実現させるために動くのか、それとも計画を頓挫させるのか、今後の動向に注目が集まっています。

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