2024年7月12日、かつてカジノを含む総合型リゾート(IR)の建設予定地だった横浜市にある山下ふ頭の再開発について話し合う検討委員会が開かれました。
開催された検討委員会の会合は4回目で、山下ふ頭の事業計画案について意見がかわされました。
市としては山下ふ頭の事業計画案を作成してから市民に意見を聞く想定ですが、検討委員会ではその前段階である事業計画案そのものについて関与できるようにするべきとの意見が出ています。
市と検討委員会の考えは対立しており、今後どのようなプロセスをとって進めていくのかが焦点になりそうです。
対立する市と検討委員会の主張
かつて横浜IRを掲げ、舞台にしようとしていた山下ふ頭について、今後の再開発に向けて横浜市は検討委員会を設置して議論を深めています。
第4回となった検討委員会の会合が7月12日におこなわれましたが、山下ふ頭の再開発において、市と検討委員会では主張の食い違いが鮮明となりました。
横浜市としては、市で作成した事業計画案を市民から意見を募集したり、意見交換会を開いたりして、2026年度頃までに事業者や開発規模を決める予定でした。
年内を目処に検討委員会から答申を受けて、事業計画案作成のスケジュールを立てていこうと考えていたのです。
しかし、検討委員会では神奈川大学の幸田雅治教授が「再開発を成功させるためには、市民による市民のための検討が実質的、実効的に担保されるべき」としてきわめて不適切であると指摘しました。
横浜IRを進めていた際も市民への情報提供が不十分であり政策決定の過程も見えづらかったとして「横浜IR誘致の反省の上に立って再開発を検討すべき」と主張。
合わせて、市民を代表する委員が過半数を占める「事業計画検討委員会」を新たに設置して公聴会を開催するなどといったアイデアも提案しました。
事業計画を作成してから意見を聞く市の主張と、事業計画そのものを意見を聞いて決める検討委員会の主張があり、それぞれの主張は対立しています。
市民から非常に高い関心を集めている山下ふ頭再開発
今回の市と検討委員会が主張を対立している背景には、横浜市民の山下ふ頭再開発における高い関心があります。
前回第3回目の検討委員会後に、市に寄せられた山下ふ頭再開発における意見や感想は111件(55人)にのぼっており、市民の関心が高いことがわかります。
検討委員会が積極的に市民の声を取り入れるべきと考えるのは当然とも言え、市の担当者も「答申後の市民参加のプロセスについてはご提案をふまえて検討したい」とコメントしています。
今回の第4回目の検討委員会では「ハマのドン」と呼ばれる藤木幸夫横浜港振興協会会長らは欠席しており、寺島実郎委員長が6月末にて委員長退任も報告されるなど、検討委員会の今後の情勢も変化する可能性があります。
次回の会合は8月を予定されており、次回からは平尾光司専修大学社会科学研究所研究参与が新委員長として検討委員会をまとめていくことになりました。
市民も熱視線を送る山下ふ頭の再開発がどのように進むのか、今後の動向に注目が集まっています。
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