大阪IR夢洲の液状化対策工事を巡る住民監査請求の監査結果、一部棄却と合議不調

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2024年8月9日、2030年の秋に開業する予定となっている大阪IR(カジノを中核とした統合型リゾート)の用地となっている大阪湾の人工島・夢洲での液状化対策工事について、市民団体がおこなっていた住民監査請求を一部棄却したことが発表されました。

この住民監査請求については、液状化対策工事において大阪市と事業者が結んだ関連契約と協定の解除を求めていたもので、市監査委員は一部を棄却し、残りは意見が一致しなかったため合議不調となったものです。

目次

住民監査請求の監査結果は一部棄却と合議不調

大阪IRを巡っては、昨年2023年9月以降、大阪府と大阪市と事業者が関連契約や協定を締結していました。

施設の整備に先立つ液状化対策工事は、協定によって公共事業に準ずるとの位置づけにより、IR事業者が大阪市に代わって実施している状況です。

この工事においては、事業者側から大阪市への土地賃料は発生していません。

これに対して、市民団体が土地賃料が発生していないことは違法だとして、住民監査請求をおこなっていました。

今回の住民監査請求に対して、8月9日に公表された監査結果では、「無償貸与は違法」だとした契約解除を求める請求を、大阪市長の裁量権逸脱があるとはいえないとして棄却しました。

一方で、公共工事に準じる工事において、「入札によらない事業者選定は違法」だとして協定解除を求めた請求については、監査では2つの意見に割れました。

まず一つ目は、実質的には公共工事であることから違法性は払拭できず、公平性の十分な確保や競争性が求められる、などと勧告を求める意見。

そして2つ目は、これは民間企業が発注したもので違法性はないとして「地方自治法が適用される契約ではない」と棄却すべきとの意見です。

これらの意見が4人の委員の間で出たため、合議が調わなかったとのことです。

ただし、市監査委員としては、事業プロセスの透明化を図って、市民に丁寧な説明を尽くすことなどを大阪市に促しました。

住民監査請求のポイントは「賃料の非発生」と「建設会社決定の公平性」

今回の液状化の工事は、2023年12月から大阪市が費用を負担して運営事業者が地盤の液状化対策工事をおこなっているものです。

この工事を巡っては、市民団体が液状化対策工事が大阪市の所有地で大阪IRの運営事業者によっておこなわれているにも関わらず、大阪市が事業者が賃料を受け取っていないことは違法だとして今年6月11日に住民監査請求をおこなっていました。

大阪IRの運営事業者が工事をおこなっているのに大阪市が土地の賃料を受け取っていないことや、土地改良事業に関する協定で工事が「公共工事に準ずるもの」と定めているのにも関わらず運営事業者が随意契約で建設会社を決めていることなどが違法だと訴えていたものです。

今回の住民監査請求の監査結果においては、一部が棄却され、合議不調というはっきりしない結果となりました。

このまま工事は進められると見られ、2030年秋の開業に向けて大阪IR事業はさらに進展していく見通しです。

今後市民団体がどのように受け止めるのか、そして大阪府や大阪市が今回の監査結果を受けてどのように対処していくのかが注目となります。

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