市民らが前大阪市長ら幹部に対し、1000億円超の支払いを求める第2次住民監査を請求

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2024年9月18日、松井一郎前大阪市長、横山英幸現大阪市長や大阪港湾局長、大阪IR株式会社、鑑定評価を行った不動産鑑定業者4社とそれを実行した不動産鑑定士個人に対し、適正な賃料との差額である約1,000億円超の支払いを求める第2次住民監査請求をおこなうことがわかりました。

9月20日に大阪市役所でおこなう記者会見にて正確な請求金額や算定方法について説明するとしています。

昨年の4月にも格安賃料による借地権設定契約の差し止めを求めていましたが、第1次住民監査請求が合議不調に終わったために提起されたものであり、今回の請求についても裁判へ移行することを想定しているとのことです。

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IR事業者から支払われる夢洲の賃貸料を巡る問題は未だ解決せず

2024年9月7日、オリックスや日本MGMリゾーツなどが出資している大阪IR株式会社は大阪府と結んだ協定のなかで、2026年9月までに違約金なしで解除できるとした権利を放棄する方針であることが報じられました。

その後に事業者が確認書を取り交わしたと発表したことから、いよいよ日本初のIRが2030年秋に開業することが現実的なものになったと話題になりました。

しかし、大阪IR株式会社への夢洲の賃料について、未だ疑惑の火種がくすぶっている状況が続いています。

IR業者に土地を貸し付ける大阪市は、不動産鑑定業者である4社に適正賃料や土地の価格の評価を依頼していました。

2019年11月に出された不動産鑑定評価書のうち、3社の評価額は1平米あたり月額428円の賃料、1平米あたりの基礎価格12万円、そして4.3%の利回りまで全てが同一となっていました。

これは2021年3月に3社が発行した評価書でも数字は一致しており、これまでの常識から考えても奇跡の一致と揶揄される事態に発展したのです。

本来、不動産の鑑定評価においては、最有効使用、つまり不動産の効用が最高度に発揮される可能性の最も富む使用方法を前提として算出すべきだとされています。

しかし、鑑定した4社はIR事業を考慮外とし、結果的にうち3社が夢洲の土地の価格を12万円/平米と鑑定し、残りの1社もほぼ同じ価格だと鑑定しました。

大阪市民に与えた損害は1,000億円

2023年9月28日、大阪市と大阪IR株式会社は夢洲3区の事業用定期借地権設定契約を締結しました。

賃貸借期間は引渡日から2058年4月13日までとなっており、30年以上もの大型契約となっています。

賃料は1平米あたり金428円であるため、月額に換算すると2億1,073万円になりますが、消費者物価スライドとなっているおのの、特に大きく変動することがない限り、賃料の変更はないと言われています。

カジノ格安賃料差止め訴訟を起こした市民らは、不動産鑑定士に依頼して、本来大阪士が貰うべき適正な月額賃料を算出しました。

土地はまだ引き渡しはされていないものの、近々工事が始まると見込んで、住民監査請求において33.5年分の差額の支払いを求めるといいます。

33.5年分の差額は総額で1,000億円超になるとのことで、2024年9月20日から大阪市役所でおこなう記者会見にて正確な請求金額や算定方法を説明するとのことです。

弁護士団長の長野真一郎弁護士は、「大阪市民の貴重な財産である夢洲をIR事業のために著しく安い賃料で賃貸することは、その適正な対価なくして貸付をおこなってはならないという地方自治法237条2項に反する違法な財務会計上の行為にあたると考えています。カジノ計画を白紙撤回させるべく、みんなで力を合わせてがんばりたいと思っています」と語りました。

9月9日には「夢洲カジノを止める大阪府民の会」という市民団体が、IR予定地の液状化対策工事業者を随意契約で決めたのは違法だとして、大阪市長らに対し、大阪IR株式会社への土地改良費支払い差止めと、同社が無償で使用している用地の賃料請求をするよう求める住民訴訟を大阪地裁へ起こすという新たな動きも見られたのです。

衆議院解散が現実味を帯びるなか、参議院の人気も来年夏に迫っています。

大阪維新の会の肝いりの事業である大阪IRの行方は、もうすぐ開幕を迎える関西・大阪万博の成否と共に、まだまだ目が離せない状況が続きそうです。

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