2024年10月1日、2030年に大阪・夢洲で開業を目指している大阪IRに関連して、大阪市がIR事業者に土地を引き渡したことを明らかにしました。
これまで賃料を不当に安くしていると市民団体からの訴えがありましたが、大阪市は特に賃料を修正せずに土地を引き渡したことになり、さらなる波紋を広げる可能性があります。
MGMとオリックスなどから構成されるIR事業者と実施協定を締結
大阪・夢洲で2030年秋頃を目処に開業を目指している大阪IR=カジノを含む統合型リゾートを巡っては、去年2023年9月に大阪市とアメリカのMGMリゾーツやオリックスなどで構成されるIR運営事業者が本契約に相当する「実施協定」を締結していました。
そこで大阪市は、市有地である夢洲北側の約49ヘクタールを35年間の定期借地として貸し出す契約を結んだのです。
IR用地としては、去年2023年12月より液状化対策工事がスタートしたものの、まだ土地は市から事業者に引き渡されてはいませんでした。
先月、事業者が違約金なしでIR事業から撤退できる「解除権」を放棄したことを発表したことで、遂に10月1日、大阪市から事業者に正式に土地が引き渡されたということです。
事業者に引き渡されたのは、約49ヘクタールのうち大部分を占める約46ヘクタールでした。
残りの3ヘクタールについては、大阪関西万博の工事の際に資材を保管する場所などとして一時的に利用されることになっています。
これにより、いよいよ今月10月から、市に月額約2億円の賃料が支払われ、今後IR事業者によるIR施設の建設準備工事が始まります。
市民団体は賃料を不当に安くしていると猛反発
約2億円の賃料が毎月大阪市に支払われることで大阪市の財政が潤うわけですが、実は本来であれば支払われる賃料はもっと高かったはずだと市民団体が猛反発しています。
事の発端は大阪市が賃料を見積もった際、本来であれば新たに設けられるであろう「夢洲駅」が最寄り駅として試算しなければならないのに、大阪メトロの「コスモスクエア駅」を最寄り駅として試算。
また、IRとしての扱いではなくショッピングモール程度の規模で算出したため、本来であればもっと賃料は高くなるはずなのに不当に安くしていると猛反発を受けたのです。
市民グループは、大阪メトロの「コスモスクエア駅」ではなく、新たに設けられる「夢洲駅」が最寄り駅になることを条件に用地の賃料を独自に試算したところ、少なくとも月額4億7000万円余りが適正金額で、毎月およそ2億6000万円の損害が発生しているとしています。
これが今後30年以上続くことを考慮して貸出しの契約期間を踏まえて計算すると、損害額は累計で1045億円にものぼると言われており、市民団体は9月20日に用地の契約などに関わった横山市長と松井前市長、そして運営業者などに対して損害賠償を求める住民監査請求をおこないました。
それに対して大阪市の横山市長は「賃料は適正な手続きをとっており、外部の意見も聞いて決まったものだ。監査請求の内容を見て対応したい」と述べています。
このまま毎月支払われる賃料は2億円のままなのか、それとも2倍以上の4億7000万円になるのか、今後の動向に注目が集まっています。
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