2024年10月15日、アメリカのMGMリゾーツ・インターナショナルの日本法人やオリックスが出資している「大阪IR株式会社」は大阪湾の人工島である夢洲で、カジノを含む統合型リゾート施設(いわゆるIR)の建設に向けた準備工事を開始しました。
仮囲いや仮設事務所の設置、敷地の測量などの工事をおこなうこととしており、来年2025年の春には施設本体の工事に着手する工事となっています。
準備工事を開始した大阪IR株式会社
夢洲では2025年4月、2025年に大阪・関西万博の開幕が予定されていることから、かねてよりIR工事に対する騒音の懸念などで万博を運営する日本国際博覧会協会や博覧会国際事務局(BIE)が万博期間中の工事中断を求めるなどして、IR計画の進捗が一時危ぶまれていました。
ただその後は工事手法の変更や防音対策などを施すことによって、万博期間中も工事を進めることが決定されました。
具体的には、2025年5月から予定されていたくい打ち工事を延期して工事音などのピークを閉幕後にずらすことや、休工日を増やすことなどを提案して、合意の形に持っていったとのことです。
大阪IRは2024年9月、違約金を払うことなく事業から撤退できる「解除権」を放棄しており、計画が順調に進めば2030年秋頃にIR開業することがほぼ確実視されています。
ただ、大阪IRが解除権を放棄したと発表した際には、当初準備工事は9月末におこなわれるとされていました。
準備工事の下調べがあったにせよ、予定よりも着手が2週間ほど遅れているのは確かであり、今後本当に予定通り2030年秋に開業できるのか疑問を持たれています。
未だに日本にカジノができることに対して反対している市民団体は多く、住民監査請求をおこなっている市民団体もいることから、IR実現が確実視されたとしても、大阪市民や国民が納得できるように丁寧に説明していく責任は残されています。
「解除権」を放棄した大阪IR株式会社の本気
大阪市でカジノを含む統合型リゾート(いわゆるIR)の開業を目指す「大阪IR株式会社」は、2024年9月10日に違約金なしで事業から撤退できる「解除権」を放棄しました。
これは観光需要の回復などの前提条件が満たされていると判断したためで、事業継続の姿勢を明確にする狙いもありました。
今回の準備工事は少し予定から遅くなったものの、インフラ整備に関わる準備工事を着手、2023年9月に締結した実施協定に基づいて、正式に9月10日に解除権失効の確認書面を交わしました。
大阪IR株式会社は、2026年9月までの期間内であれば計画を白紙にすることができましたが、本当に夢洲にIR施設を作るのか懐疑的な見解が広がっていたこともあり、期限からまだ2年あったにも関わらず解除権の放棄を急いだと見られています。
これは大阪万博開幕中の工事における懸念も起因しており、万博側からは開幕中の工事中止を迫られていたため、解除権を放棄して工事継続の必要性をアピールしたい狙いもあったようです。
結果的に万博側とはくい打ち工事の実施時期を約2ヶ月先送りして、200台超の大型重機が稼働するピーク期を万博閉幕後に持ってくることなどの施策をおこなうことで工事継続が決定し、双方が合意する形となりました。
2030年秋の開業に向けて、今後の工事の行方に注目が集まっています。
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