2030年の大阪IR開業を前に急務だと言われているのが、ギャンブル依存症の徹底です。
2023年2月に作成された大阪府のホームページでは大阪IR専用のトピックスがあり、その中にギャンブル依存症対策についておこなう施策が書かれていますが、まだ十分ではないと言われています。
大阪府は具体的にどのようなギャンブル依存症対策をおこなうのかが注目を集めていますが、ホームページを見るとシンガポールの依存症対策を例にしていることがわかります。
依存症対策にかかる多額の費用をかけており、大阪府の本気が伺えますが、本当に大丈夫なのか住民の不安は拭いきれていない現状です。
大阪IRのギャンブル依存症対策はIR実現における必須事項
大阪IRが掲げている依存症対策においては、大阪IRが国に提出した整備計画の審査結果は150点中90点でした。
100点満点に換算すると60点であり、大学などの基準で考えると60点はギリギリの及第点であって満足できる点数ではありません。
カジノやIRに反対している団体が反対している大きな理由の一つに「ギャンブル依存症の患者が増える」ことを挙げているのは、至極当然とも言えます。
整備計画を審査した審査委員会が合格点を出した際に課した宿題の7つの条件には、ギャンブル依存症対策に係る内容がありました。
その内容とは、「実効性のあるギャンブル依存症対策に取り組む。また、依存症が疑われる人の割合の調査を行い、その結果を踏まえて対策を定期的に検証。大阪府・大阪市とIR事業者が連携・協力して必要な措置を適切に講ずる」というものでした。
これらの条件を満たすために、大阪市とIR事業者は管轄エリア内におけるギャンブル依存症対策を実施し、大阪府はさらに広いエリアをカバーしつつ、IR事業者を管理監督したり、調査研究体制を推進するとしています。
このうち、IR事業者が実施する依存症対策だけで、年間約9億円が見込まれており、入場料を徴収などすることで賄うことになりそうです。
大阪IRがおこなうべき発生抑制策と発生後対処策
大阪IRは依存症対策をおこなう必要がありますが、「発生抑制策」と「発生後対処策」についても検討し実施しなければいけません。
いずれもギャンブル依存症対策の一貫ですが、どちらも非常に重要な対策です。
まず発生抑制案ですが、これは青少年への教育など普及啓発の強化を指しています。
カジノ施設内とカジノ施設外のIR施設内に24時間、365日利用できる相談施設を設けるなどの相談体制の構築をおこなっていくとしています。
民間支援団体とも連携対策を取っており、治療及び回復支援につながる取り組みも実施中です。
さらに海外でカジノ運営の実績があるMGM社において導入実績のある「責任あるゲーミングのプログラム」を日本向けに改編して導入することとしています。
貸付業務の対象としては、誰でも良いというわけではなく、日本に住居を有しない外国人と、1000万円以上をIR事業者が管理する口座に預け入れている人に限定しています。
そして発生後対処策においては、入場者や家族の申告などによる利用制限措置として、排除プログラム制度が展開されています。
ギャンブル依存症となってしまった本人や家族に対して、相談機関や医療機関などの情報が提供されるようになっています。
他にも、整備計画には大阪府、大阪市の公安委員会や大阪府警が連携して対策を実施するなど、幅広い対策を実施することが決まっています。
費用は先行準備で約71億円、開業後は年間約33億円と決して安い金額ではありません。
残り時間が少ない中で進めていかなければいけないため、今後の動向が注目されています。
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