暴力団排除条例改正が7月に施行、大阪IRの建設における暴力団排除を強化

news_eyecatch

2024年7月に施行される「改正暴力団排除条例」では、暴力団と建設事業者との利益供与について厳しい罰則が設けられます。

これは大阪府が2025年の大阪・関西万博や2030年開始予定の大阪IRの建設工事において、暴力団に利益が発生しないようにするのが目的であり、かつて様々な建設工事によって暴力団に多額の資金が流れていったことに起因します。

現状、様々な意見が飛び交い、肯定的な解釈ばかりではない大阪・関西万博と大阪IRにとって、クリーンな建設工事をおこなうことは必須条件でした。

暴力団の利益を生まないことは、大阪府警をはじめ大阪府全体の課題でもあったのです。

目次

7月に施行される「改正暴力団排除条例」とは

今年の7月に施行される「改正暴力団排除条例」では、大阪市や堺市など大阪府内の6市に営業所を置く建設業者を規制対象建設業者に指定しています。

指定された建設業者は、もし暴力団との間で利益供与が発生しそれが確認された場合、指定建設業者、及び暴力団に対して懲役1年または罰金50万円以下の罰則が発生するようになります。

また罰則のみならず、違反が見つかった場合には即逮捕や書類送検が可能となる直罰規定も定められました。

ここまで具体的でスピード感のある施行は全国でも珍しく、大阪・関西万博に大阪IRと「絶対に失敗が許されない一大プロジェクト」を複数抱える大阪府の覚悟が見てとれます。

現行の暴力団排除条例では、暴力団に対するみかじめ料などといった利益供与を禁止しているものの、もし違反したとしても勧告や公表のみで罰則はありませんでした。

今の状況では莫大な利益が発生する可能性がある大阪・関西万博や大阪IRに対する不正防止とはなっておらず、建設業者と暴力団の癒着が問題視されていたのです。

このような状況について大阪府警幹部は今回の条例改正において「大きな開発がおこなわれているなか、暴力団に資金が流れることは絶対に防がなくてはならない」と語気を強めています。

捜査当局がどこまで取り締まりを強化できるかが今後のカギ

今回の暴力団排除条例の改正により、一定の資金流入は阻止できるとしながらも、罰則が50万円と非常に低いことから、莫大な利益を生み出すとされる公共事業の前では大した抑制力にならないとの指摘もあります。

そのため、今回の改正でキーになるのは罰則ではなく、直罰規定でもある条例違反時の逮捕や起訴をどこまで積極的におこなえるかが重要になると専門家は指摘しています。

かつての暴力団排除条例が施行された平成4年では、みかじめ料や暴力団との関係のある企業による公共事業の入札なども禁止されました。

それにより、暴力団の構成員は平成4年から令和5年までの間に約4分の1にまで減少し、暴力団の弱体化に成功させた経緯があります。

今後は警察や検察といった捜査当局の力が試されるとされ、今回の改正でより一層の暴力団の弱体化が求められています。

一方、暴力団もただ手をこまねいているわけではなく、最近は特殊詐欺など身分を隠して利益確保のための犯罪を引き起こしていると警戒を強めています。

大阪・関西万博や大阪IRをクリーンなプロジェクトとして成功させるためには、暴力団の関与は許されるものではありません。

特に大阪IRはギャンブルを含んでおり、クリーンなイメージを持たせるためにも暴力団の排除は必須だと言えます。

現状、舞台となる夢洲での工事は本格化しており、今後も警戒を強めていく必要があります。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次